「ザ・クインテッセンス」 2020年8月号
成人のオープンバイトの治療法は現在、軽度から中等度の歯性によるオープンバイトの症例であれば、歯科矯正単独治療を選択し、前歯部におけるオーバーバイトが-5mmを超える骨格性によるオープンバイトの症例であれば、顎矯正治療(いわゆる外科的矯正治療)を選択する必要があると認識されている。しかし、開咬量が大きい難症例患者であっても、外科的な治療を受け入れることが困難な場合もある。
それらのすべてではないにせよ、外科的な治療を回避できるならば、患者にとってはより有益な治療となり得る。また、最終的に歯冠修復治療が必要になる場合であっても、可及的に保存的な修復治療(conservative restorative treatment)を提供することも同様に、患者に対してより有益な治療結果を提供できると考える。
本稿ではその具体的な方法を、中等度の歯性によるオープンバイトおよび重度の骨格性によるオープンバイトの症例を提示し、その治療方法を紹介させていただきたい・・・続きを読む
「ザ・クインテッセンス」 2018年9月号
前号では、とくに咬合再構成治療において、咬合高径を変化させる場合のヒンジアキシスの重要性について言及した。真の安定したヒンジアキシスを採用せず、平均値のイヤーボウトランスファーで模型が付着された咬合器上で咬合高径を変化させれば、程度の差こそあれ、修復補綴装置咬合面にほぼ間違いなくエラーを生じさせる。誤差の量が大きいほど、口腔内での補綴装置の調整は煩雑になり、当然、歯冠状態のパフォーマンスも低下する。
それほどの絶対的信頼の源であるヒンジアキシスであるが、以下、大きな欠点が2つある。
① ハンドリングが煩雑なこと。
② たとえ正確にトランスファーできたとしても、咬合器上で大幅に変化させた咬合高径を決定した場合、患者がその新しい咬合口径を機能的・審美的に受け入れられる保証は、治療する前において何も約束されていないという事実。
そこで今回は、ヒンジアキシスの採用を回避して、咬合再構成治療を行った2つの症例を紹介させていただき、咬合高径の意義を考えてみたい。1症例目は、重篤なBrachyofacial Patternの患者の咬合口径を大幅に挙上した症例、2症例目は重篤なDalicofacial Patternの患者の咬合高径を可能な限り大幅に減少させた症例である・・・続きを読む
「ザ・クインテッセンス」 2018年8月号
日常臨床において、全顎における矯正歯科治療や咬合再構成治療を行う際に、筆者が必ず守る原則は、
① 整形外科的に安定した顆頭位のもとで適切な前歯および犬歯部の被蓋を付与すること、
② ①によって下顎がより垂直的な咀嚼パターン(mandibular verticalization)を実行しやすくすること、
③ 垂直的な咀嚼パターンを保証するための遺伝的歯冠状態を臼歯部に与えること、である。
これら三位一体ともいうべき原則がすべて確立できたとき、良好な治療結果・予後が約束されると信じている。そして、この成功を左右するもっとも重要なファクターこそが「適切に設定された咬合高径」だと考えている。
生体にとっての最適な咬合高径はピンポイントで存在すると思われるが、その特定は非常に困難であり、100%の確実性をもって設定できる保証はない。ましてや、成人のある種の顔面骨格形態や、後述する上下最後臼歯部の高径などが、その最適な咬合高径を決定する際にその要求を厳しく制限してくる。
したがって、われわれにできることは、あらゆる視点から患者の咬合高径を評価し、最適な咬合高径に可及的に近いと思われる、生体の許容範囲内の位置にて咬頭嵌合位を確立することが、安定した予後に大きく影響するだろう。おそらく、筆者にとって咬合高径の決定こそ、完全な解答がない永遠のテーマになることが推測される・・・続きを読む
「ザ・クインテッセンス」 2010年1月号
「ザ・クインテッセンス」 2010年2月号
「ザ・クインテッセンス」 2010年3月号
顎口腔システムから「咬合」を理解する
第3回Bioesthetic Dentistryの第一原則
:Stable Condylar Position
「ザ・クインテッセンス」 2010年4月号
顎口腔システムから「咬合」を理解する
第4回下顎の回避パターンとコンタクトガイダンス
「ザ・クインテッセンス」 2010年5月号
顎口腔システムから「咬合」を理解する
第5回Bioesthetic Dentistryの第二原則
:固有感覚性アンテリアガイダンスの確立
「ザ・クインテッセンス」 2010年6月号
顎口腔システムから「咬合」を理解する
第6回Bioesthetic Dentistryの第三原則
:遺伝的歯冠形態
「ザ・クインテッセンス」 2010年7月号
顎口腔システムから「咬合」を理解する
第7回生物学的・システム論的視点による
フルマウスリコンストラクションの実際
ケースプレゼンテーションに学ぶ
Bioesthetic Dentistry
「ザ・クインテッセンス」 2010年10月号